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腎トランスポーター及び腎疾患・尿酸代謝異常症の病態生理研究

研究室のねらい

1.尿酸動態及び代謝異常の病態解明

プリン代謝の最終代謝産物は、生物によって異なり、ヒトにおける最終代謝産物は尿酸である。血清尿酸値は、尿中への尿酸排泄能と尿酸産生量によって決定される。腎臓において、尿酸はトランスポーターにより再吸収、分泌が行われ、最近種々のトランスポーターが尿酸輸送を行うことが報告されてきた。しかし、どの程度腎臓における尿酸輸送に寄与するのか等、十分に明らかにされていない。またプリン代謝系において尿酸産生過剰をきたす機序は、SNPsによるアプローチもされたが、一部の遺伝子疾患以外は明らかにされていない。研究室では、これら尿酸輸送や代謝系の解析を通じて、尿酸動態及び代謝異常の機序を明らかにする。

2.高ホモシステイン血症の病態解明

ホモシステインはメチオニン代謝の中間代謝物として生成されるチオール基を持つアミノ酸である。多くの疫学研究によって、血漿中ホモシステイン濃度が健常者に比べてわずかに高値である軽度ホモシステイン血症でも、心血管疾患の危険因子であることが明らかにされている。しかし、血漿中ホモシステイン濃度の上昇機序及び心血管疾患の発症機序は明らかにされていない。研究室では、高ホモシステイン血症の粥状動脈硬化症や細小血管合併症への関与などを探り、血管障害の病態生理を明らかにする。

3.D-アミノ酸の体内動態及び生理的意義の解明

これまで哺乳類では異物と考えられてきたD-アミノ酸の中で、D-セリンなどの一部のD-アミノ酸は生理的役割を担っていることが明らかになってきた。しかし、他のD-アミノ酸に関する知見は乏しい。研究室では、種々のD-アミノ酸の生体内動態を明らかにするとともに、その生理的意義を探っている。

研究室メンバー

transportes1-245x300.jpg(役職:氏名 / 学位)
教授: 市田 公美(医学博士)
講師: 長谷川 弘(薬学博士)
講師: 藤田 恭子(工学博士)
助教: 関根 舞(農学博士)

 

大学院博士課程2年:1名
大学院博士課程1年:1名
6年生:16名
5年生:14名
4年生:14名
(令和2年4月現在)

担当講義

(科目: 学年【前・後期】 /教員名)
人間と薬学Ⅰ:1年前期/市田公美、長谷川 弘、藤田恭子
疾病と薬物治療Ⅲ:3年前期/市田公美、藤田恭子
疾病と薬物治療Ⅳ:3年前期/長谷川 弘
病態生理学・薬物安全性学実習:3年後期/長谷川 弘、藤田恭子、関根 舞 他
臨床推論Ⅰ:4年前期/市田公美 他
医療薬学特論Ⅰ:4年前期/市田公美 他
医療薬学演習Ⅰ:4年前期/長谷川 弘、藤田恭子、関根 舞 他
病態生理学特論:6年前期/長谷川 弘 他

研究テーマと概要

1) 尿酸動態及び代謝異常の病態解明:

新規尿酸トランスポーターの同定と機能解析
他施設との共同研究において、新規尿酸トランスポーターの同定及び機能解析を行っている。また、血清尿酸値に影響を与えることが推定されるトランスポーターに関しては、高尿酸血症または低尿酸血症症例の遺伝子解析を行い、関連を検討している。
 
腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全の原因解明
尿酸トランスポーターの異常である腎性低尿酸血症では、運動後急性腎不全を高頻度に合併することが知られている。しかし、その機序は明らかになっていない。そこで、大多数の腎性低尿酸血症の原因遺伝子であるURAT1のノックアウトマウスを用いて、運動後急性腎不全の機序の解明を行っている。
 
産生過剰型高尿酸血症の病態解明
プリン代謝において、尿酸産生量に影響を与える物質等の測定系の確立を行っている。産生過剰型高尿酸血症において最も影響を与えている物質を同定し、機序を明らかにする。

2) 高ホモシステイン血症の成因機構の解明:

安定同位体標識メチオニン及びホモシステインを投与し、基質および代謝物の血液中濃度をガスクロマトグラフィ-質量分析計で定量し、それらの量的変化からホモシステイン代謝異常の成因を解明している。臨床的にはホモシステイン代謝関連酵素の遺伝子多型との関連を検討している。

3) D-アミノ酸代謝に関する研究:

安定同位体標識した種々のD-アミノ酸を投与し、血液中のD-アミノ酸、代謝生成するα-ケト酸およびL-アミノ酸をガスクロマトグラフィ-質量分析計で定量し、D-アミノ酸からL-アミノ酸への変換率を求めている

主な研究業績(過去3年間)

研究室の業績欄をご参照ください。

最近のトピックス

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