医薬品開発を志向した生物活性物質の探索と有機合成
- 平成27年度卒業論文関連 -
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卒業論文研究テーマと概要

研究室の方針

本研究室では癌、ウイルス性疾患、結核、マラリアなどの疾患の治療薬の開発を目指した研究を行っています。医薬品を開発するには長いプロセスと時間がかかりますが、我々の研究室ではその初期段階である創薬シーズの探索研究、創薬シーズの合成研究、有機化学に基づいた遺伝子に直接作用する化合物の設計と創出を行っています。

卒業論文研究テーマ

1.創薬シーズの探索研究
sponge01創薬シーズの探索はこれまで植物や微生物を中心に行われてきていますが、我々は海洋に生息する動物、植物や微生物が産生する海洋天然物は、その化学構造がユニークで強力な生物活性を示すものが多いことに注目し、海洋生物由来の創薬シーズの探索を行っています。
我々は、沖縄県石垣島近海のサンゴ礁に生息する海綿 Acanthella sp. から得られたカリヒノールAが、強力な抗マラリア活性を有することを発見しました。マラリアは、結核、エイズと共に世界三大感染症のひとつで、現在でも多くの感染者が苦しめられており、地球温暖化のためさらに感染地域が広がることが懸念されている感染症です。また、クロロキンなどの治療薬に対して耐性をもつマラリアも出現しており、新しい治療薬の開発が求められています。

2.創薬シーズの合成研究
海洋生物由来の化合物は創薬シーズとして期待されているが、含有量が少ないものが多く、海洋生物からの抽出のみでは、医薬品開発を行うだけの量的確保が難しいという問題があります。そこで創薬シーズとして期待されている天然物の供給を目的に、全合成研究を行っています。現在、海綿由来で抗マラリア薬として期待される 7-イソシアノ-7(20)-14-エピアンフィレクタジエン、真菌由来で特異な環構造をもち抗腫瘍薬として期待されているアスコスピロケタールA、海藻由来で特異な構造の糖脂質で抗腫瘍薬として期待されているニグリカノシドAなど海洋生物由来の天然物の全合成に取り組んでいます。
天然物の全合成は、生物が作り出した物を、我々の知恵と技術で行うもので、「自然への挑戦」という意味から興味深い研究テーマです。

3. 遺伝子に直接作用する化合物の設計と創出nucleic acid01
癌、エイズおよび先天性遺伝病等の疾患を根底から治療するには、それらの遺伝子に直接作用し、その発現を抑制することが有効です。このような治療法として、標的遺伝子と相補的な配列をもち、選択的に結合できる遺伝子断片(アンチセンス核酸)を化学合成し、それを治療薬として用いるアンチセンス療法が検討されています。また、標的遺伝子を狙い撃ちできる核酸関連化合物等の開発検討も行われています。
我々は、癌やウイルス疾患等の治療薬の創製を目的として、安定性や安全性を考慮した化学修飾アンチセンス核酸や核酸関連化合物を設計し、その合成および評価を行っています。また、核酸(DNA, RNA)断片は、治療薬以外にも遺伝子診断薬に応用され、多量に必要とされているため、その効率的な合成法の開発も行っています。