薬物や生体成分の分離分析法,定量法,物性評価法,および生体内反応のリアルタイム解析法などの開発
- 研究室紹介 -

研究室のねらい

~研究のスタンス~
新しい化合物を発見したり合成したりすることで創薬のシーズが生まれ,新しい生理機能や作用メカニズムを見つけることで,創薬のターゲットが広がります.同様に,何かの物質や物性や作用(反応)に関する「新しい分析法」を作り出すことで,創薬の世界の新しい扉が開くはずだ,と考えて研究しています.言い換えると,既に完成された分析法に頼って実験するのではなく,あくまでも,未解決の問題を解くための方法論(分析法)を自ら考案し,それを使って世界初のデータを得ることを最大の目的として研究しています.
~研究分野やターゲット~
「分析」は応用科学の一分野なので,化学系と生物系の両方の知識が必要です.また,測定対象物質も様々であり,この数年間だけでも,薬物(抗生物質,抗腫瘍薬,向精神薬,血圧降下薬,含硫薬物,含フッ素薬物,免疫抑制薬),天然物(アルカロイド,ポリフェノール,環状ペプチド,セラミド),生体成分(糖,アミノ酸,ペプチド,酵素タンパク質(組換え体含む),核酸塩基,オリゴヌクレオチド,脂質,ビタミン)等々多岐に渡っています.ですので我々は,物質に対してほとんどこだわりを持っていませんが,必ず化学構造をチェックして特徴や性格を見抜き,分析上の手掛かりにつなげようと常に考えています.

研究室メンバー

 

役職 : 氏名 学位
教授 : 栁田顕郎 博士(薬学)
講師 : 東海林敦 博士(薬学)
助教 : 森岡和大 博士(工学)
客員研究員 : 1名
博士課程学生 : 2名
6年生 : 17名
5年生 : 15名
4年生 : 17名
(平成29年1月現在)

担当講義

(2017/ 平成29年度 予定)
科目: 学年(前・後期)/ 教員名
●化学平衡論: 1年(前期)/ 栁田顕郎
●分析化学: 1年(後期)/ 栁田顕郎
●機器分析学: 2年(前期)/ 東海林敦・栁田顕郎
●物理系ゼミナール: 2年(前期)/ 東海林敦
●分析化学実習: 2年(前期)/ 栁田顕郎・東海林敦・森岡和大
●医療薬物薬学特論-i (創薬概論): 4年(前期)/ 栁田顕郎【分担】
●医療薬物薬学演習 I-i (医薬品創製と基礎): 4年(前期)/ 栁田顕郎・東海林敦【分担】
●科別英語特論: 4年(前期)/ 栁田顕郎・東海林敦・森岡和大
●アドバンス英語: 5年(通年)/ 栁田顕郎・東海林敦・森岡和大
●医療薬物薬学演習 II-i (ラボラトリー演習): 5・6年(通年)/ 栁田顕郎・東海林敦・森岡和大
●医療薬物薬学演習 II-ii (学術論文演習): 5・6年(通年)/ 栁田顕郎・東海林敦・森岡和大
●4P-80: 5年/ 東海林敦【分担】

研究テーマと概要

  •  現在進行中もしくはこれまでに行ってきた研究テーマは以下のとおりです.その多くは,大学や病院や企業との共同研究として行っています.

<クロマトグラフィー技術を駆使する薬物や生体成分の分離法,
高選択・高感度定量法,物性評価法の開発>
1) 薬物脂溶性パラメータ(log P)の High-Throughput 評価法の開発と応用
 ●独自開発した分析法により(計測不可能であった)薬物や生体成分の log P 値の網羅的測定を行っています.
 ●急性薬物中毒時の脂肪乳剤静注療法の効果を評価するための新規な手法を開発し,薬物 log P 値との相関性を評価しています.
2) 薬物-金属イオン相互作用の迅速スクリーニング法の開発と応用
 固相抽出とHPLC分析を組み合わせて、きわめて広範囲な領域の薬物-金属イオン相互作用の有無を、迅速簡便に検出する手法を開発しています.
3) TDM対象薬などの院内測定を支援する簡便な血中濃度分析法の開発
 多様なTDM対象薬や中毒物質に対して,一般の病院での院内測定が可能なほど手順や機器類を効率化した,きわめて迅速な血中濃度分析法を開発しています.
4) 高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)を使用する新規な分離法の開発
 液/液の二相溶媒系を使う HSCCC の特徴を最大限に生かして,(通常のHPLC ではできない)分離カラム内での「化学反応(蛍光標識化や錯体形成など)を伴う」薬物選択的な新しい分離法を開発中です.

<様々な生体内反応をリアルタイムに解析できる手法の開発>
1) 表面プラズモン共鳴(SPR)イメージング法を用いた単一細胞の膜界面における生体分子計測法
 金表面から 200 nm 内に存在する分子が計測されることを利用し,細胞膜-細胞外マトリックス等の界面における生体分子を可視化する手法を開発します.
2) 光ファイバー表面プラズモン共鳴センサーの開発
 光ファイバー表面プラズモン共鳴センサーのプローブを作製し,イムノアッセイに応用します.
3) 細胞外の生体分子を可視化するための蛍光低分子化合物の開発
 細胞から放出される生体分子を細胞膜内で可視化するための低分子化合物を設計します.
4) 光ファイバー SPR 電極による生体分子の計測法の開発
 生体成分の計測への応用を目指して,光ファイバー型 SPR 装置と電気化学的計測法を一体化させた計測装置を自作します.
5) 脂質二分子膜内を検出の場として用いるバイオセンサーの構築
 4~5 nm のナノ空間である脂質二分子膜内をトランデューサーとするバイオセンサーを構築します.

主な研究業績(平成24年度)

原著

1) Highly sensitive and rapid assay of substance P and streptolysin O in human serum using immuno-liposomes and gramicidin channels.  Sakamoto M., Shoji A., Sugawara M., Anal Sci. 29(9):877-83, (2013).

2)   Comprehensive separation and structural analyses of polyphenols and related compounds from bracts of hops (Humulus lupulus L.). Tanaka Y1, Yanagida A, Komeya S, Kawana M, Honma D, Tagashira M, Kanda T, Shibusawa Y., J. Agric. Food Chem., 62(10),  2198-2206 (2014). 

3) Evaluation of cathepsin B activity for degrading collagen IV using a surface plasmon resonance method and circular dichroism spectroscopy. Shoji A., Kabeya M., Ishida Y., Yanagida A., Shibusawa Y., Sugawara M., J. Pharm. Biomed. Anal.,  95, 47-53, (2014).

著書

1) A. Shoji,  M. Sakamoto, M. Sugawara,  “Mechanisms Controlling the Separation and Retention of Proanthocyanidins and Other Plant Polyphenols in Hydrophilic Interaction Chromatography.” Advances in liposome research, chaptor 6, pp. 147-170 (2014).

最近のトピックス

6 年生 池谷佳奈さんがバイオメディカル分析化学会にて星野・研究奨励賞を受賞しました

6 年生 高水翔太君が日本薬学会関東支部大会にて優秀発表賞(口頭)を受賞しました