第82回 薬剤師国家試験問題
(基礎薬学)







  1. 物質の構造と性質
    • 化学構造
    • 化学反応性
    • 物理化学的性質
    • 構造分析法
  2. 天然医薬資源
    • 生薬及び天然由来の医薬品
  3. 生体の構造と機能
    • 生体成分の構造と性質
    • 生体成分の代謝
    • 細胞・器官の構造と機能
    • ホルモンと情報伝達
    • 免疫
  4. 基礎薬学解答

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制作者メール宛先


物質の構造と性質

問1 炭素と同じ第2周期の元素に関する次の記述の正誤について、正しい組合せは
どれか。
a これらの原子の2s、2p、2d 軌道には電子が存在する。
b ホウ素は炭素よりも電気陰性度が小さく、酸素は窒素や
炭素よりも電気陰性度が大きい。
c 炭素、窒素、酸素、フッ素の水素化化合物において、
C−H結合の分極がもっとも小さく、N−H、O−H、F−Hの順に大きくなる。
d ネオンは炭素やホウ素と同じ周期の元素であるが、希ガスの一つであり、化学的に極めて
安定な元素である。

  a b c d
1 誤正正正
2 正正誤正
3 誤誤正正
4 誤正正誤
5 正誤誤誤

問2 有機化合物の酸性度、塩基性度及び混成軌道に関する次の記述の正誤につい
て、正しい組合せはどれか。
a piperidine(hexahydropyridine)窒素の非共有
電子対はsp3混成軌道を占めるのに対して、
pyridine 窒素の非共有電子対はsp2混成軌道を占め
ている。
b 塩基性度は pyridine の方が piperidine よりも高
い。
c ethylene(ethene)炭素の混成軌道は sp2 である
のに対し、acetylene(ethyne)炭素の混成軌道は
spであり後者の軌道のs性が高い。
d 酸性度は acetylene の方が ethylene よりも高い。

  a b c d
1 誤正正誤
2 正正誤訳
3 誤正誤正
4 正誤正正
5 正誤正誤

問3 benzeneとその水素化化合物である cyclohexene 及び cyclohexane に関する
次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a benzene の炭素原子は、sp2混成軌道をもち、炭
素原子間の距離は cyclohexene の二重結合の長さ
より短い。
b benzene の水素化熱は、cyclohexene の水素化熱
の3倍より小さく、benzene はその差だけ安定化し
ている。この安定化エネルギーを共鳴エネルギーと
いう。
c cyclohexane は、chair form や boat form のような conformation をとっ
ている。
d methylcyclohexane の場合、methyl 基が axial 位にある chair form が最
も安定である。

  a b c d
1 誤正正正
2 正正誤正
3 誤誤正正
4 誤正正誤
5 正誤誤誤

問4 有機反応に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a propene に対するHBrの付加反応では、通常の反応
条件で(Markovnikov則に従い)1-bromopropane を
与える。
b 水溶液中において trichloroacetaldehyde は、水が付
加した構造である chloralhydrate として存在する。
c カルボン酸やリン酸などのエステルあるいはアミドを
加水分解すると、酸及びアルコール(又はフェノール)
あるいはアミンが生成する。

  a b c
1 誤正誤
2 正正誤
3 正誤正
4 正誤誤
5 誤正正

問5 下記の酢酸誘導体について、求核試薬(例えば、OH)に対する反応性の順
序の正しいものはどれか。
1 acetamide>acetyl chloride>ethyl acetate>acetic anhydride
2 acetic anhydride>ethyl acetate>acetyl chloride>acetamide
3 acetyl chloride>acetic anhydride>ethyl acetate>acetamide
4 acetamide>ethyl acetate>acetic anhydride>acetyl chloride
5 ethyl acetate>acetyl chloride>acetic anhydride>acetamide

問6 次の記述は日本薬局方収載のnitrazepam の確認試験の一部である。(1)及び(2)
の試験で呈色する物質の正しい組合せはどれか。
nitrazepam(ニトラゼパム)

(1) 本品 0.02 g に希塩酸15 mL を加え、5分間煮沸し、冷後、ろ過する。ろ液
は芳香族第一アミンの定性反応を呈する。
(2) (1)のろ液 0.5 mL に水酸化ナトリウム試液を加えて中和し、ニンヒドリン試
液 2 mL を加えて水浴上で加熱するとき、液は紫色を呈する。

1(a、d) 2(a、e) 3(b、d) 4(c、e) 5(f、f)

問7 次の抗悪性腫瘍薬の名称と化学構造との正誤について、正しい組合せはどれ
か。
a cyclophosphamide
(アルキル化剤)

b fluorouracil
(核酸代謝拮抗薬)

c mitomycin C
(抗生物質)

d methotrexate
(葉酸代謝拮抗薬)


  a b c d
1 正正正正
2 正正誤誤
3 誤正正誤
4 誤誤正正
5 誤誤誤誤

問8 morphine、codeine 及び cocaine に関する次の記述の正誤について、正しい
組合せはどれか。

a これらの物質はいずれもケシ科植物から得られる
alkaloidsである。
b morphine とcodeine には、allyl alcohol 性水酸
基が存在するので、塩化第二鉄反応(FeCl3反応)
陽性である。
c これらの化合物には3級アミンが存在するので、
亜硝酸と反応してnitrosamine 誘導体を与える。
d cocaine には4個の不斉炭素(キラル中心)が存在する。

  a b c d
1 誤誤訳正
2 正誤正誤
3 正正誤正
4 正正誤誤
5 誤正正誤

問9 次の化学構造をもつ l-menthol の正しい化学名はどれか。

1 (1R,3R,4R)-3-p-menthanol
2 (1R,3R,4S)-3-p-menthanol
3 (1R,3S,4R)-3-p-menthanol
4 (1R,3S,4S)-3-p-menthanol
5 (1S,3R,4R)-3-p-menthanol
6 (1S,3R,4S)-3-p-menthanol
7 (1S,3S,4R)-3-p-menthanol
8 (1S,3S,4S)-3-p-menthanol

問10 ephedrine[1]の異性体が、Fischerの投影図[2]から[4]で示してあ
る。次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a [1]と[2]及び[1]と[4]とはそれぞれ
互いに diastereomer の関係にある。
b [1]と[3]及び[2]と[4]とはそれそれ
enantiomer(鏡像異性体)の関係にある。
c [2]と[4]の旋光度は、絶対値が等しく、正
負の符号は逆である。
d [1]と[3]とは meso 体であるので、両者と
も旋光性をもたない。

  a b c d
1 誤正正誤
2 正誤訳正
3 正正誤正
4 正正正誤
5 誤誤誤正

問11 旋光度測定法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 旋光の性質は、偏光の進行方向に向き合って、偏光面
を左に回転するものを左旋性、右に回転するものを右旋
性とし、偏光面を回転する角度を示す数字の前に、それ
ぞれ、左旋性は記号 + を、右旋性は - を付けて示す。
b 比旋光度は、示性値として用いられるが、濃度との間
に比例関係がないため、医薬品の定量に用いられない。
c 旋光度の測定は、特定の単色光を用い、通例、ナトリ
ウムスペクトルのD線で行う。

  a b c
1 正正誤
2 正誤正
3 正誤誤
4 誤正正
5 誤誤正

問12 酸の解離に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。ただし、
数値は正しいものとする。
a acetic acid の下記の平衡式に関して、平衡定数
K と酸解離定数 Ka の間には、K=Ka[H2O]
の関係がある。
CH3COOH+H2O ヒ CH3COO- + H3O+
b acetic acid の pKa は 4.7 である。pH 4.7 の水溶
液中では、CH3COOH と CH3COO- のモル濃度は
等しい。
c 「ammonia の pKa は10である」という記述は正しくない。「ammonium
ion の pKa は10 である」とするべきである。
d 負の値の pKa をもつものは特に強い酸である。

  a b c d
1 誤正正正
2 正正誤正
3 正誤誤正
4 正正正誤
5 誤誤正誤

問13 水溶液に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 水素イオン指数(pH)と水素イオン濃度[H+]
の間には、pH=-log[H+]の関係がある。
b 水のイオン積(KW)は純水のみではなく、酸や
塩基が溶存している場合でも、温度が一定ならば常
に一定である。
c 多塩基性酸水溶液では、一般に第二段階以下の電
離は第一段階の電離に比べて著しく小さい。
d アミノ酸の等電点と等しい pH の水溶液中では、そのアミノ酸の電気泳動に
おける移動度は最も大きい。

  a b c d
1 正正正誤
2 正正誤誤
3 誤誤正誤
4 正誤正正
5 誤正誤正

問14 酸と塩基に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a p-nitrophenol は phenol よりも強い酸である。
b p-nitrophenol は m-nitrophenol よりも強い酸で
ある。
c p-nitroaniline は aniline よりも強い塩基である。
d p-nitroaniline は m-nitroaniline よりも強い塩基
である。

  a b c d
1 正正正誤
2 正誤正正
3 誤誤正誤
4 誤正誤正
5 正正誤誤

問15 一般式 R−CH(NH2)COOH で示されるα-アミノ酸の R 基に含まれる官能基と
アミノ酸との正しい組合せはどれか。

  官能基            アミノ酸
a 一NH2 ……………………………… methionine
b 一NH一C(=NH)一NH2  …………… arginine
c 一OH  ………………………………  threonine
d 一SH  ………………………………  cystine
e 一CONH2  …………………………  lysine
f 一COOH ……………………………  aspartic acid

1(a、b、d) 2(a、e、f) 3(b、c、f)
4(c、d、e) 5(d、e、f)

問16 下記の化学構造を有するglutathione に関する次の記述の正誤について、正し
い組合せはどれか。

a glutathione は dipeptide である。
b angiotensin の構成成分である。
c 多種類の生体異物と抱合体を形成し、最終的に
メルカプツール酸となり尿中に排泄される。
d 生体内においては、酸化型も存在する。

  a b c d
1 正誤正誤
2 正誤誤正
3 誤正誤正
4 正正誤誤
5 誤誤正正

問17 たん白質の構造に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 高次構造は、基本的にはアミノ酸の配列順序
(一次構造)に依存している。
b ジスルフィド結合を還元剤で切断しても高次構造
が変化することはない。
c 高次構造の形成には、水素結合、疎水結合、イオ
ン結合などが関与する。
d 加熱などで変性した時は、もとの高次構造が変化
している。
  a b c d
1 正誤正正
2 正誤誤正
3 正正正誤
4 誤正正正
5 誤正誤誤

問18 酵素と酵素反応に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 酵素反応には、最適 pH と最適温度が存在する。
b 酵素は糖質を主成分とする物質であり、生体内化
学反応を触媒する。
c ビタミンを補酵素とする酵素がある。
d Michaelis定数(Km 値)が大きいほど酵素と基
質との親和力は強い。

  a b c d
1 正誤正誤
2 正正誤誤
3 誤正誤正
4 正誤正正
5 誤誤正正

問19 複合たん白質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 核たん白質には、nucleohistone のほかに、
cytochrome がある。
b 金属たん白質として、transferrin やSOD
(superoxide dismutase)などが知られている。
c リンたん白質とは、たん白質分子中のアミノ基に
リン酸が結合したものをいう。
d 卵黄中には、albuminというリポたん白質が多
量に含まれている。

  a b c d
1 正誤正正
2 誤正誤誤
3 正正正誤
4 誤誤正誤
5 正正誤正

問20 脂肪酸に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 飽和脂肪酸は動物体内で生合成されるが、不飽和
脂肪酸は生合成されない。
b 分子中に含まれる炭素間の二重結合の数は、
oleic acid では1個、linoleic acid では2個、
linolenic acid では3個である。
c 設問bの3種の脂肪酸に含まれる二重結合は全て
cis 形である。
d linoleic acid や linoIenic acid が空気酸化を受けやすいのは、2つの二重結
合にはさまれた -CH2- がラジカル機構による酸化を受けやすいからである。

  a b c d
1 正誤誤正
2 誤正正正
3 正誤誤誤
4 誤正誤誤
5 誤誤正誤

問21 細胞膜に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 細胞膜は通常、脂質二重層(二分子膜)を基本的
な構造としている。
b 細胞膜に存在するたん白質は、単純たん白質だけ
である。
c 能動輸送では、物質は濃度勾配に逆らって細胞膜
を通過することができる。
d 受容体には細胞膜を7回貫通する構造をもつもの
がある。

  a b c d
1 誤正正誤
2 正誤正正
3 正誤誤正
4 誤正誤誤
5 正正正誤

問22 ヨウ素に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ヨウ素分子は常温で揮散すると、その蒸気は紫色
で特異臭がある。
b 水溶液中でヨウ素分子は、次亜ヨウ素酸(HIO)
とヨウ化水素酸(HI)とに解離する。
c 水溶液中でヨウ素分子は、デンプンと包接化合物
をつくり青紫色を呈する。
d ポビドン(polyvinylpyrrolidone)と複合体を形
成し、その複合体はポビトンヨードとして殺菌・消
毒薬として用いられる。

  a b c d
1 正誤誤正
2 誤誤正誤
3 正正誤誤
4 誤誤正正
5 正正正正

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天然医薬資源

問23 日本薬局方に収載されている生薬の成分に関する次の記述のうち、正しいもの
の組合せはどれか。
a sennoside A は、センナに含まれ、緩下作用を有する。
b digitoxin は、ジギタリスに含まれる強心配糖体である。
c scopolamine は、オウバクに含まれ、副交感神経遮断作用を有する。
d berberineは、ロ一トコンに含まれ、腸内殺菌、整腸作用を有する。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

問24 生薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 甘草は繁用漢方薬処方の多くに配合されているが、大
量の使用は体内ステロイド代謝系に影響する(偽アルド
ステロン症)ことから、注意が必要である。
b 麻黄は葛根湯や小青竜湯などの漢方処方に配合され、
アトロピンを主成分として含有する。
c 附子には、アコニチンなど毒性の高いジテルペン系ア
ルカロイドが含まれるため、減毒して各種生薬製剤に用
いられる。

  a b c 
1 正正正
2 正正誤
3 誤誤誤
4 誤正正
5 正誤正

問25 terpene(テルペン類)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはど
れか。
a いずれのterpene も、acetic acid から
mevalonate pathway(メバロン酸経路)で生合成
される。
b triterpene は、C30骨格を有するsqualeneから
生合成される。
c carotene は、植物内で生合成されるC40骨格を
有する tetraterpene である。
d vitamin Aは、動植物内で carotene から生合成される。

  a b c d
1 正正誤正
2 正誤正誤
3 誤誤正誤
4 誤正誤正
5 正正正正

問26 物質 X が物質 Y へと変化する反応が一次反応速度式に従うとする。この反応
に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 反応速度は X の濃度と Y の濃度との積に比例す
る。
b 反応温度を一定にしておけば、X の半減期は X
の初濃度には無関係である。
c 反応速度定数 k の次元は (時間)-1 となる。
d 反応速度定数 k が Arrhenius 式
 kA・exp(- E/RT)
に従うとすれば、温度 T の上昇にともなって k は
小さくなる。

  a b c d
1 正誤正誤
2 誤正正誤
3 誤正正正
4 正誤誤正
5 正正誤正

問27 反応速度に関係する下図についての記述の正誤について、正しい組合せはどれ
か。ただし、触媒の有無によって頻度因子は変わらないものとする。

a この反応は吸熱反応である。
b この反応が自発的に進行するとき、反応後の系の
自由エネルギーは反応前の系に比べて低下してい
る。
c 触媒の添加によって反応速度が大きくなるのは、
Ea の値が増加するためである。
d 触媒を添加するとBHの値は増加する。

  a b c d
1 誤誤誤正
2 正正誤誤
3 誤正正正
4 正誤正誤
5 誤正誤誤

問28 水の性質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 液体の水が気化するとき、H2O 1 mol 当たりの
エントロピーは増大する(BS >0)。
b 液体の水が凝固するとき、H20 1 mol 当たりの
エンタルピーは増大する(BH >0)。
c 氷と水の化学ポテンジャルμは融点においては
等しい。
d グルコース水溶液を凍結乾燥するとき、水分子は
昇華して水蒸気となる。

  a b c d
1 正誤誤誤
2 誤正正誤
3 正正正誤
4 誤正誤正
5 正誤正正

問29 可視光の性質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 水中の光速は真空中の光速よりも小さい。
b 屈折率は物質に対する光の入射光に依存する。
c 屈折率は光の波長に依存しない固有の値である。
d 医療用内視鏡のファイバースコープは光の全反射
を利用している。

  a b c d
1 正正誤誤
2 正誤誤正
3 正誤正誤
4 誤正正誤
5 誤誤誤正

問30 物質の溶解に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 溶媒の誘電率が小さいほど電解質は溶解しやす
い。
b 溶媒分子と溶質分子との間に双極子間相互作用が
働くと溶解が抑制される。
c エタノールを水と混和するとき発熱するのは、エ
タノールが水和するためである。
d 硫酸バリウムが胃の造影剤として安全に用いられ
るのは、それの溶解度積がきわめて小さいからであ
る。

  a b c d
1 正誤誤誤
2 誤誤正誤
3 誤誤正正
4 誤正誤正
5 正正正誤

問31 高分子化合物の希薄水溶液に関する次の記述の正誤について、正しい組合せは
どれか。
a 溶液の浸透圧は、濃度の上昇とともに低下する。
b 溶液の粘度は、濃度が上昇しても変化しない。
c 溶液の粘度は、毛細管粘度計で測定できる。
d 平均分子量は、溶液の粘度測定からも求められ
る。

  a b c d
1 正正誤誤
2 誤誤誤誤
3 誤誤誤正
4 誤誤正正
5 正正正正

問32 ガスクロマトグラフ法に用いられる検出器A〜Dの特徴を述べた次の記述 a〜
d について、正しい組合せはどれか。
A 水素炎イオン化検出器(flame ionization
detector,FID)
B 炎光光度検出器(flame photometric detector,
FPD)
C 熱伝導度検出器(thermal conductivity
detector,TCD)
D 電子捕獲検出器(electron capture detector,
ECD)
a 有機ハロゲン化合物を高感度で検出できる。
b 有機化合物のみならず無機化合物も検出できる。
c ほとんどの有機化合物を検出できる。
d リンを含む有機化合物を比較的選択的に検出できる。

  A B C D
1 a b c d
2 c d a b
3 a b d c
4 c d b a
5 d c b a

問33 クロマトグラフ法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ぺ一パークロマトグラフ法は、ろ紙繊維の表面に
吸着されている水を固定相とする分配型である。
b セルロースを担体とする場合の薄層クロマトグラ
フ法は、操作が簡単で、展開時間も短く、ペーパー
クロマトグラフ法に取って代わる場合が多い。
c アルミナやシリカゲルは、薄層クロマトグラフ法
の担体として利用できない。
d ゲル(ろ過)クロマトグラフ法では、他の条件が同じであれば、分子量の大
きい方が先に溶出される。

  a b c d
1 誤正誤誤
2 正正誤正
3 誤誤正誤
4 正誤誤正
5 誤正正正

問34 液体クロマトグラフ法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれ
か。
a 液体クロマトグラフ法における溶質の分離機構に
は吸着、イオン交換、分配、分子ふるいなどがあ
る。
b 逆相(reverse phase)クロマトグラフ法の固定
相の極性は、順相(normal phase)クロマトグラ
フ法の固定相の極性に比べて小さい。
c 類似した構造の化合物群に逆相クロマトグラフ法
を適用するとき、疎水性の大きい化合物ほど保持時
間が小さい。
d 移動相中の有機溶媒の含量は、保持時間の大きさに影響を与えない。

  a b c d
1 誤正正正
2 正正誤正
3 正正誤誤
4 正誤正誤
5 誤正誤誤

問35 電気泳動法に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 電気泳動法には、支持体を用いない方法と、アガ
ロースゲルやポリアクリルアミトゲルなどを支持体
として用いる方法とがある。
b 溶液中で被検物質を直流電場に置くとき、分子の
大きさ及び形などによっても、その移動度は影響を
受ける。
c 泳動用緩衝液の pH は、試料の分離に大きく影響
する場合がある。
d amino acid、peptide、protein、及び sugar などの分離には有効であるが、
nucleic acid の分離には用いられない。

  a b c d
1 正誤正正
2 正正正誤
3 誤誤誤正
4 誤正正誤
5 正正誤誤

問36 ある医薬品(分子量:300)の2.00 mg/100 mL のエタノール溶液につき、日
本薬局方一般試験法の吸光度測定法により測定したところ、250 nm における吸
光度は 0.520 であった。この医薬品の比吸光度(E1%1cm)とモル吸光係数(ε)と
の正しい組合せはどれか。
比吸光度 モル吸光係数

1 130 2600
2 520 5200
3 780 3900
4 260 7800
5 2600 15600

問37 結晶形の違いは医薬品のバイオアベイラビリティに影響を与えることがある。
結晶多形の存在を確認する方法について、正しいものの組合せはどれか。
1 X線回折法、熱分析法、液体クロマトグラフ法
2 赤外吸収スペクトル法、X線回折法、紫外吸収スペクトル法
3 溶解度測定法、屈折率測定法、原子吸光光度法
4 赤外吸収スペクトル法、熱分析法、X線回折法
5 屈折率測定法、密度測定法、旋光度測定法

問38 ある医薬品の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)と紫外吸収スペクトル(メタ
ノール溶液)が示してある(図中の矢印は主な吸収の波数又は波長を示す)。こ
れらのスペクトルから化学構造を推定し、該当する医薬品を選べ。

1 | 2 | 3 | 4 | 5
問39 次の図は、ある化合物(C10H13NO2)を 60MHz の装置で DMSO-d6中、テ
トラメチルシランを基準物質として測定したプロトンNMR スペクトルである。
このスペクトルから化学構造を推定し、該当する化合物を選べ。ただし、
9.55 ppm 付近のシグナルは重水で処理すると消失する。また、測定溶媒に基づ
くシグナルは除いてある。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6
問40 核磁気共鳴法(1H-NMR)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せ
はどれか。
a 一般にシグナルの面積強度はプロトンの数に比例
する。
b 隣に等価なプロトンがn個存在すると、一般に
シグナルは(n+1)本に分裂する。
c 測定溶液中に重水を添加することによって、OH
や NH などの活性水素のシグナルを消失または移
動させることができる。
d プロトンの磁気緩和時間からの情報は、臨床で使われるMRI(磁気共鳴イ
メージング)に利用されている。

  a b c d
1 正誤誤正
2 正正正正
3 正正誤誤
4 誤誤正正
5 誤正正誤

問41 次の質量分析法に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 高真空下で一方向に加速されたイオンが電場又は
磁場中を通過するとき、質量電荷比(m/z)が小
さいほどイオンの軌道は大きく曲げられる。
b 気化した試料に熱電子流を照射すると、分子中の
電子がはじき出されて正の電荷をもった分子イオン
となる。このイオン化法をEI(electron impact)
法という。
c イオン化の際、過剰のエネルギーを受け取った分子イオンは、弱い結合が開
裂して質量のより小さなフラグメントイオンを生成する。
d 臭素の安定同位体 79Br と 81Br の天然存在比は100:98である。2個の臭素
を含む分子イオンは、2マスユニット間隔でおおよその強度比が1:2:1の3
本のピークとして出現する。

  a b c d
1 正誤正誤
2 誤正誤正
3 誤誤正正
4 正正誤誤
5 正正正正

問42 日本薬局方一般試験法の滅菌法には照射法として、(ii)放射線法、(ii)紫外線法、
(iii)高周波法が収載されている。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 紫外線は照射法に用いられる電磁波のうち、最も波長が短い。
b 紫外線もγ線と同様に、透過力が強い。
c 放射線法の線源には、60Co や137Cs などのγ線を放出する核種が用いられ
る。
d 高周波法は、高周波を直接照射し、発生する熱によって微生物を殺滅する。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

問43 放射線に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a α線の本体は水素原子核である。α線が物質
の中を通過するとき、短い距離で全エネルギー
を失う。
b β線の本体は電子である。β線を放出する放
射性同位元素には3H、14C、32Pなどがあり、
トレーサー実験に利用される。
c γ線の本体は、原子核内で起こるエネルギー
準位間の遷移により放出される電磁波である。
d X線の本体は原子核外で放出される電磁波であり、γ線と同様に電離放射線
と呼ばれる。
e 11Cや18Fなど短寿命の放射性同位元素から放出される陽電子による粒子線
も放射線の一種である。

  a b c d e
1 誤正誤誤正
2 正誤正正誤
3 正誤誤正誤
4 正誤正誤正
5 誤正正正正

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生体の構造と機能

問44 遺伝子及びその発現に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれ
か。
a 二重鎖DNAの4種類の塩基のうちで、thymine
と対をなす塩基はguanineである。
b 動物細胞では、DNAはまずRNAに転写された
後、intron(イントロン)配列が除去されて
mRNAが生成する。
c mRNA の codon(コドン)は、各アミノ酸に対
応するtRNAを介してアミノ酸に翻訳される。
d たん白質合成の場である ribosome(リボソーム)はたん白質から構成され
ており、RNAを含まない。

  a b c d
1 正正正正
2 正誤正誤
3 誤正誤正
4 誤正正誤
5 誤誤誤正

問45 遺伝子操作に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 遺伝子組換え技術では、異種DNA断片をベクター
DNAに組込ませ、宿主細胞中で複製させることができ
る。
b 制限酵素はDNAの特定の塩基配列を認識して、
DNAを切断する。
c 特定のDNA配列を選択的に合成・増幅するために
は、PCR法(polymerase chain reaction 法)がきわめ
て有効である。

  a b c
1 誤正正
2 正誤誤
3 誤誤正
4 正正誤
5 正正正

問46 ホルモンとその情報伝達に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはど
れか。
a 膵臓ランゲルハンス島β細胞から分泌され
る insulin は、肝グリコーゲンの分解を促進す
る。
b insulinの作用は、標的細胞の特異的受容体
を介して細胞内に伝達される。
c corticosterone は副腎皮質ホルモンで抗炎症
作用を示す。
d epinephrine のβ受容体刺激効果は、細胞膜内のアデニル酸シクラーゼの活
性化による細胞内 cyclic AMP の合成により伝達される。
e cyclic AMPは Cキナーゼを直接的に活性化する。

  a b c d e
1 正誤誤正正
2 正誤正誤誤
3 誤正正正誤
4 誤正誤正正
5 誤誤正誤正

問47 尿素サイクルに関する次の記述のうち、(  )の中に入れるべき字句の正
しい組合せはどれか。
アミノ酸の代謝で生成した有毒なアンモニアは、主に肝臓で( A )となっ
た後、オルニチンと反応して( B )を生成し、さらに( C )などを経て
無害な尿素となり尿中に排泄される。

    A         B     C
1 チアミンピロリン酸 グロブリン キヌレニン
2 クレアチンリン酸  グロブリン アスパラギン
3 カルバモイルリン酸 シトルリン アルギニン
4 クレアチンリン酸  シトルリン アルギニン
5 カルバモイルリン酸 ケファリン アスパラギン

問48 cytokine(サイトカイン)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せ
はどれか。
a interferon(インターフェロン)はウイルス抑制
作用だけではなく、免疫担当細胞にも作用する。
b cytokine の中には、食細胞の遊走を引き起こす
ものがある。
c M-CSF(マクロファージ・コロニー刺激因子)
は単球やマクロファージヘの分化・増殖を誘導す
る。
d T細胞由来の cytokine は、遅延型アレルギー(IV型アレルギー)には関与
していない。

  a b c d
1 正正誤正
2 誤誤正誤
3 正正正誤
4 正誤誤正
5 誤誤正正

問49 生体防御にかかわる細胞に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはど
れか。
a 免疫応答に関与する主要組織適合遺伝子複合体
(MHC)の産物は、B細胞表面にも存在している。
b 細胞膜のCD抗原を利用して、リンパ球をCD4
陽性T細胞などのように分類することができる。
c マクロファージの細胞表面には、IgGを認識する
受容体が存在する。
d 好中球はmonoclonal抗体を産生することがあ
る。

  a b c d
1 正正誤正
2 正正正誤
3 正誤誤正
4 誤誤正誤
5 誤正誤正

問50 生体防御機構に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ヒト白血球抗原(HLA)は臓器移植拒絶反応に
関与する。
b 好中球やマクロファージは、細菌の貧食や殺菌に
関与する。
c ウィルス感染に対する防御には、体液性免疫は無
効である。
d T細胞やマクロファージは、がん細胞に対して
反応することはない。

  a b c d
1 正正誤誤
2 正誤正誤
3 誤正正誤
4 誤誤正正
5 誤正誤正

問51 免疫グロブリンに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 花粉による即時型アレルギー反応は主にIgE が
関係する。
b IgG は胎盤を通過し胎児に移行するため、新生児
の感染防御に関与する。
c IgA は血液中のみならず、唾液、初乳、小腸分
泌液などにも存在する。
d IgM は補体結合能を持たず溶菌反応に関与しな
い。

  a b c d
1 正誤誤正
2 正誤正誤
3 正正正誤
4 誤正正正
5 誤正誤正

問52 細菌の薬剤耐性に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 耐性菌の出現は、抗菌薬の長期連続使用とは関係
ない。
b 耐性菌は、感受性菌の突然変異や耐性遺伝子の獲
得などにより出現する。
c 耐性機構には、薬物の不活性化、薬物標的部位の
構造変化、薬物の細胞膜透過性の変化などがある。
d β-ラクタマーゼを産生するβ-ラクタム抗生物質
耐性菌では、β-ラクタムの膜透過性が変化する。

  a b c d
1 誤正誤正
2 正誤誤正
3 誤誤正正
4 誤正正誤
5 正正誤誤

問53 微生物に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 大腸菌はグラム陰性菌であり、その中には毒素を
産生するものがある。
b 破傷風菌は皮膚の創傷面から感染する嫌気性菌
で、毒素は産生しない。
c ウィルスは細胞を含まない人工培地でも増殖する
とができる。
d B型肝炎ウイルスは、ヒトに持続感染して増殖す
る。

  a b c d
1 正誤正誤
2 正誤誤正
3 誤誤正正
4 誤正正誤
5 正正誤誤

問54 胃酸分泌に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 胃酸は、胃腺にある旁細胞(壁細胞)より分泌され
る。
b 胃酸分泌細胞にはヒスタミンH2受容体があり、ヒス
タミンが作用して胃酸分泌を起こす。
c 幽門腺から遊離されたガストリンは、胃酸分泌を抑制
する。

  a b c
1 正正誤
2 正誤誤
3 誤正誤
4 正誤正
5 誤正正

問55 中枢神経系の各部位と、主にそれが関与する働きとの対応の正誤について、正
しい組合せはどれか。
a 延髄 一一一一一一一一 呼吸の中枢
b 脳幹網様体 一一一一一 意識レベルの維持
c 視床下部 一一一一一一 自律神経系の高位中枢
d 脊髄 一一一一一一一一 骨格筋の反射中枢

  a b c d
1 正正誤誤
2 正誤正誤
3 誤正正誤
4 誤誤誤正
5 正正正正

問56 シナプスの性質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a シナプス前膜と後膜との間にはシナプス間隙があ
る。
b 興奮がシナプスを通るとき、シナプス遅延とよば
れる時間の遅れを生じる。
c 反復刺激をした場合にシナプス伝達が低下するの
は、タキフィラキシー(急速耐性、速成耐性、
tachyphylaxis)の一種である。
d シナプス前膜と後膜との間の情報伝達は、哺乳動物では一般に電気的に行わ
れている。

  a b c d
1 正誤誤正
2 正誤誤誤
3 誤誤正正
4 正正正誤
5 誤正誤正

問57 心室筋と骨格筋の収縮機序に関する次の記述のうち、正しいものの組合せばと
れか。
a 筋の興奮・収縮にかかわるCa2+イオンは、いずれの筋においても、細胞外
から細胞内へ流入するもののみである。
b 体液中の電解質の組成は、いずれの筋の興奮性にも影響する。
c 電気刺激を繰り返すと、いずれの筋においても、次第に加重して大きな収縮
(強縮)が現れる。
d 1本の筋線維の収縮は、いずれの筋においても、all-or-noneの法則に従う。
e いずれの筋の細胞膜にも、ニコチン受容体が多く分布し興奮に関与する。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d) 5(d、e)

問58 循環器に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 大部分の酸素は hemoglobin と直接結合して
血液中を運搬されるが、二酸化炭素は炭酸水素
イオン(重炭酸イオン)の形で運搬されるもの
が多い。
b 冠状動脈は心臓の栄養血管であり、大動脈起
始部より枝分かれする。
c 房室間における興奮の伝導は、特殊心筋とよ
ばれる分化した筋肉により行われる。
d 房室結節における興奮の伝導速度は norepinephrine によって減少する。
e 洞房結節の細胞は自動能をもっており、心臓全体の調律を行っている。

  a b c d e
1 正正誤正誤
2 正誤正誤誤
3 誤誤正誤正
4 正正正誤正
5 誤正誤正正

問59 下記の医薬品について、関連が示唆されている事項に関する次の組合せの正誤
について、正しい組合せはどれか。
a penicillin 一一一一一一一一一一 anaphylactic shock
b antibiotics 一一一一一一一一一  MRSA infectious disease
c antihypnotics 一一一一一一一一 hallucination
(stimulant drugs)
d quinoform 一一一一一一一一一一 subacute myelo-optic(o) neuropathy(SMON)
e anticancer alkylating agents 一一一一一一 myelopathy

  a b c d e
1 誤正誤正誤
2 正誤誤誤正
3 誤誤正正誤
4 誤正正誤正
5 正正正正正

問60 次の人物とその業績に関連した事項との対応の正誤について、正しい組合せは
どれか。
a B. N. Ames(エイムス)一一一一一一一一 mutation test
b P. Ehrlich(エールリッヒ)一一一一一一  salvarsan
c G. Domagk(ドマーク)一一一一一一一一  penicillin
d S. A. Waksman(ワックスマン)一一一一 streptomycin
e A. Fleming(フレミング)一一一一一一一 sulfa drug

  a b c d e
1 正誤誤誤正
2 正正誤正誤
3 誤正誤正正
4 正誤正誤誤
5 誤正正誤誤

基礎薬学解答

01020304050607080910
001445312124
105115351122
202515-255-3
304423244152
405554533321
503421543452




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