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滅菌に始まり滅菌に終わる

研究室メンバー

(役職:氏名 / 学位)
教授:中南 秀将 博士(薬学)
助教:瀨山 翔史 博士(薬学)
助手:吉田 拓真 学士(薬学)
事務:1名
博士課程:2名
6年生:11名
5年生:9名
4年生:11名
(令和5年4月現在)

担当講義

(科目: 学年【前・後期】 /教員名)
微生物学:2年生前期(中南秀将) 
病原微生物学:2年生後期(中南秀将)
感染制御学:3年生前期(中南秀将)
医療薬学演習Ⅰ 臨床で活躍する薬剤師を目指して:4年生医療薬学科前期(中南秀将、瀨山翔史、吉田拓真)
微生物実習:2年生後期(中南秀将、瀨山翔史、吉田拓真)

最近のトピックス

強毒型のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が増加しています!

伝染力が強く、健康なヒトにも重症の皮膚感染症を起こすので注意が必要です。

薬剤耐性アクネ菌が増加しています!

アクネ菌は痤瘡(ニキビ)の増悪因子です。

有効な抗菌薬を選択し、用法・用量を守った正しい抗菌薬治療を行う必要があります。

非結核性抗酸菌 (NTM) 症が増加しています!

現行の抗菌薬療法では治療が困難な疾患です。

本疾患に対する研究は重要な課題であると同時に、新たな治療法の確立が急務とされています。

詳しくは、当教室の業績一覧をご参照下さい。

研究室のねらい

全世界の死亡原因の第1位は感染症です。

特に、高齢者や小児では、先進国でも肺炎などの感染症が死因の主原因として脅威となっています。

その理由として、以下が挙げられます。

①メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌(MDRP)のような薬剤耐性菌の院内感染

②インフルエンザ、結核、HIV、ノロウイルスなど大規模な感染症の流行

③医療の発展による移植患者やがん患者などの易感染性患者の増加

現在の感染症の治療は病原体に対するだけでなく、患者の状態と服用している薬剤さらに薬剤耐性菌を考慮した総合的な診断が要求されます。

薬剤耐性(AMR)による感染症は世界中で大きな問題となっており、2015年に世界保健機関(WHO)で「AMR対策アクションプラン」が策定され、本邦においても2016年からAMR対策が実施されています。

そのような背景から、日本病院薬剤師会では感染制御専門薬剤師、日本化学療法学会では抗菌化学療法認定薬剤師・外来抗感染症薬認定薬剤師といった、感染症と抗菌薬や感染予防対策に精通した薬剤師を養成する制度が施行されています。そこで、当教室では、抗菌薬適正使用を推進し、薬剤耐性菌の流行を抑止するために、専門資格を有する薬剤師が実臨床の指導も行うことで、感染症に強い薬剤師の育成を強化・推進しています。

研究テーマと概要

当教室は、感染症の予防や治療を目的として、
感染症の原因微生物と抗菌薬について、以下の研究を行うとともに、基礎と臨床に精通する将来の感染制御専門薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師および研究者の育成を行っている

1)抗菌薬感受性の調査
  医療機関の患者から分離された菌株、例えばMRSAMDRP、皮膚感染症を起こすブドウ球菌、肺炎を起こす肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などを集め、抗菌薬やワクチンの有効性を調査している。同時に、新しい薬剤耐性菌の出現・流行を監視・解析している。

2)感染対策
 東京医科大学 八王子医療センターおよび西多摩地区総合病院の感染対策ネットワークのメンバーとして、病院内の薬剤耐性菌や病原菌の動向を、病原菌の遺伝子を調べることで調査・解析している。

3)皮膚感染症原因菌の解析
  ざ瘡(ニキビ)の増悪には、皮膚の常在菌であるアクネ菌が関与している。ざ瘡は重症患者の増加や耐性菌の出現により、治療が難しくなっている。皮膚科医からざ瘡患者検体を提供いただき、アクネ菌の薬剤耐性や病原性因子を解析している。

4)新規の病原体と病原遺伝子の解析
  同じ細菌に感染しても、その病気の程度はさまざまである。その原因として、病原体の病原遺伝子が関係している場合がある。そこで、これらの遺伝子を解析し、発症との関連を研究している。この研究は、感染症の予防と早期治療に貢献する。

5)非結核性抗酸菌 (NTM) 症の新規治療法の創出
  肺NTM症は肺結核の罹患率を超え, 世界的に死亡者数が増加している。その臨床経過は多彩であり, 種々の抗菌薬に自然耐性を示すため、難渋症例が多いことが問題である。そこで、慶應義塾大学病院の患者検体を用いて、薬剤耐性株の流行状況や耐性機構の解析、及び動物代替モデルのカイコ感染モデルにより、NTMに特有の病原因子を解明し、新規治療法の開発を行う。