News
当教室では私自身がこれまでに培った全国のがん専門病院や大学病院等との研究ネットワークを活かし、世界中のがん患者さんを副作用から救うための治療法の開発を目指しています。抗がん薬治療においては遺伝情報をもとに治療薬を選択する技術、すなわち、個別化医療がすでに臨床導入されています。しかしながら副作用治療における個別化医療はほとんど進化していないのが現状です。また免疫チェックポイント阻害薬のような新規抗がん薬治療では、抗腫瘍効果ばかりに注目が集まりますが、副作用や他の薬物との相互作用などの情報は乏しく、安全に使用するための情報は極めて不十分です。がん薬物治療では患者さん目線で治療をサポートすることがとても重要であり、高い抗腫瘍効果とともに副作用の予防や治療を上手に施行することが両立してはじめて質の高い治療と言えると思います。当教室では臨床研究のほかビッグデータマイニングや基礎研究を融合した研究を推進することで、がん薬物治療の発展に貢献できる研究室を目指したいと考えます。
臨床薬理学教室 教授 鈴木 賢一
近年、様々な作用をもつ多くの抗がん薬が開発され、治療効果は年々向上しています。その一方で抗がん薬の副作用も複雑化しており、治療効果の向上と同様に副作用の予防治療や副作用対策(支持療法)も持続的な進化が求められています。現在、がん研有明病院等の連携医療機関との共研究を行い、高齢者を対象として抗がん薬が原因となる悪心嘔吐の新規予防療法の開発研究や、がん免疫療法の中心的薬剤である免疫チェックポイント阻害薬の新たな相互作用の解明に関する研究を主に実施しています。自身のがん専門病院での勤務経験を活かし、国内のがん専門病院等と協力し、新たな治療法を世界に向けて発信するための臨床試験を中心に行っています。卒論研究ではこれらの研究に付随する調査研究や基礎研究を中心に行います。当教室で実施した卒論研究が近い将来、日本だけではなく世界における標準的な治療法の誕生に貢献できる可能性があります。みなさんと共に抗がん薬治療による副作用を克服するための臨床研究を通じて、社会貢献できれば幸いです!
米国FDAのFAERS (FDA Adverse Events Reporting System)等の大規模有害事象データベースの網羅的な解析を行うことで、新たな薬物相互作用や副作用予防薬の同定を目指した研究を行っています。解析により100 万通りの薬物併用の組合せの中で任意の副作用の増強または低下シグナルを仮説として得ることができます。これをレセプトデータベース、薬理学的実験、バイオインフォマティックスツールによる解析、さらには医療機関における臨床研究を通じた統合的検証につなげる体制とし、医薬品の市販後情報を起点として新たな副作用予防薬や薬物相互作用の同定を目指します。
医薬品安全性情報の研究として、FAERS を用いて薬物治療パターン毎の副作用・有害事象報告を比較しています。患者の年齢、性別や使用薬物と副作用の報告割合の関連を見える化する情報の充実化を目指します。
【関連記事はこちら➡】
腫瘍組織においては、微小環境に浸潤した制御性T(Treg)細胞が、がん薬物療法に対する応答性に影響を及ぼす可能性が考えられます。一方、血液や母乳など体液中に分泌されるエクソソームは、細胞間コミュニケーションに重要な役割を担っています。そこでエクソソームに内包される核酸やタンパク質を解析し、免疫細胞の成熟や分化誘導との関連について検討します。薬物応答性バイオマーカーの探索に取り組み、個別化医療への応用を目指します。
2024年度
1年 人間と薬学1
1年 データサイエンス入門
1年 データベース統計演習
2年 ゼミナール
2年後期 疾病と薬物治療II
3年後期 疾病と薬物治療V
4年前期 個別化医療II
4年前期 医療薬学科別特論I
4年前期 医療薬学科別演習I
4年前期 医療薬学科別特論II
4年前期 医療薬学科別演習II
4年前期 実務実習事前実習I
4年後期 実務実習事前学習II
4年後期 総合演習
5年前期 情報収集I
5年後期 生殖医療特論
6年前期 情報収集IV
6年前期 医薬品開発特論
6年前期 臨床薬理学特論
6年後期 総合薬学演習I