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社会から求められる薬学の役割は何か ?

研究室のねらい

 

薬剤師が、患者中心の医療を推進していくために! 

 医療人として位置づけられた薬剤師が、患者を包括的に捉え、患者を中心とした医療をいかに実現していくのか。これからの薬学は、これまでの薬物治療の専門家としての役割に加えて、人の生命や健康にかかわる保健医療をも担うものであることを認識しなければなりません。人の健康を確保し、これを維持・促進するために使用される薬は、単なる物質ではなく、それぞれに社会性を有しており、人の尊厳に深く関わるものであることを自覚する必要があります。
 
 私たちは薬学が歴史的、社会的、法的そして倫理的に様々な影響を受けながら発達してきたことを改めて認識し、薬学は、その成立から現在そして将来に向けて、社会と密接に関わっていくものであることを理解していかなければならない。と考えています。
 
 医療をめぐる社会状況が刻々と変わっていく中、薬剤師が患者中心の医療を推進していく原動力となるように、「患者さんのために、何ができるのか」という視点を、学生と共に育んでいきたいと思います。

研究室メンバー

(役職:氏名 / 学位)
教授:北垣邦彦( 博士(薬学))
助教:山田哲也

大学院生(博士):1名
6年生:2名
5年生:4名
4年生:4名
(2021年6月現在)

担当講義

(科目: 学年【前・後期】 /教員名)
人間と薬学:1年【全】/北垣
ゼミナールⅠ:1年【後期】/北垣
ゼミナールⅡ:2年【前期】/北垣
社会と薬学:2年【後期】/北垣
総合演習Ⅱ:4年【後期】/北垣
レギュラトリーサイエンス:5年【前期】/北垣
医療プロフェッショナリズム:5年【後期】/北垣
情報収取Ⅲ:5年【後期】/北垣

研究テーマ

1)学校薬剤師

 学校薬剤師は、学校保健安全法(昭和33年法律第56号、最終改正:平成20年6月18日法律第73号)に基づき大学以外のすべての学校に置くものとされる非常勤の学校職員です。その活動の中心は、学校における環境衛生の維持管理に従事することですが、健康教育の推進等様々な役割に期待が高まってきています。一方、薬剤師のこのような公益性の高い活動への認知は極めて低い状況にあります。学校薬剤師の活動状況を把握し、その活動内容等を広く周知を図っていくことは、薬剤師の地位向上にもつながると考えています。
 平成28年度からかかりつけ薬剤師制度が開始されており、薬剤師の地域貢献の観点からかかりつけ薬剤師、学校薬剤師さらにスポーツファーマシストの関連について調査を進めていく予定です。

2)学校環境衛生

 学校における環境衛生は、学校環境衛生基準(平成21年文部科学省告示第60号)に基づき維持管理されています。特に学校薬剤師が従事する環境衛生検査は、衛生学や分析学で学んだ基礎を実践で生かした活動です。しかし、学校における環境衛生検査の実施は、必ずしも適切とはいえない状況があると言われています。上記の公益社団法人日本薬剤師会の学校薬剤師部会による全国学校保健調査の結果等を分析し、改善に向けた提言等をまとめることは大切だと考えています。

3)飲酒・薬物乱用問題

 我が国では、政府が推し進める「薬物乱用防止対策五か年計画」に基づき薬物乱用の根絶に向けた様々な施策が実施されおり、小・中・学校における未然防止教育も重要な役割を果たしています。
 近年、危険ドラッグのようにこれまでの覚醒剤等の違法薬物とは異なる新たな脅威が生じていることから、薬学等の専門的な知識を生かした対策を検討し、実行していくことが必要です。例えば、危険ドラッグについては、指定薬物制度等を含む法規制や薬理作用などは小・中・高等学校の教員だけでは子供たちへの指導は難しく、薬剤師等の専門家の情報発信が必要です。薬剤師からの効果的な情報発信の在り方について検討していきたいと考えています。
 また、近年の薬物乱用の特徴として、捕まらない薬物の使用があると言われています。特に一般用医薬品や医療用医薬品の乱用が問題として浮かび上がってきています。これらの対策には、薬剤管理や医薬品の適正使用の周知徹底などが考えられます。しかし、乱用の実態などの基礎情報が不十分です。このような問題も本研究室の研究テーマの一つとして考えています。

4)医薬品の適正使用

 平成24年度から中学校において医薬品の適正使用の重要性について学ぶようになり、高等学校では販売制度や承認制度なども適正使用に必要な背景情報として学びます。しかし、新たな医薬品分類としての要指導薬の追加、一般用医薬品のインターネット販売など中・高等学校での教育内容より社会の変化が先に進んでいる状況です。学校における医薬品の適正使用に関する教育に薬剤師の関与が期待されていますが、教育の専門家でない薬剤師がどのように関与していくことが効果的であるのかについて検討を進めていきたいと考えています。

詳しくはこちらへ⇒卒業論文関連

研究活動

下記のページをご参照ください。

お問い合わせ

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東京薬科大学 社会薬学研究室
教授 北垣邦彦:kitagaki@toyaku.ac.jp
学生質問先:syakaiyakugaku@gmail.com