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リポソームで一緒に夢を運びませんか?

研究室のねらい

プラスミドDNA、CpG-ODN、アンチセンスDNA、siRNAなどの核酸医薬を「必要な量」、「必要な時間」、「必要とする部位」に送達させ得る究極のDrug Delivery System(DDS,薬物送達システム)の具現にむけて、リポソームをはじめとし、広くその素材やデリバリー技術の開発にも目を向けた研究をおこなっています。また、「くすり」の『器』であるリポソームが相互作用する免疫系細胞の機能にどのような影響をおよぼすかに関しても検討を加えています。

研究室メンバー

(役職:氏名 / 学位)
教授: 根岸洋一 / 薬学博士  : researchmapKAKEN
講師: 髙橋葉子 / 博士(薬学) : researchmapKAKEN
助教: 田所弘子 / 博士(薬学) : researchmapKAKEN
助教: 岡本英之 / 博士(薬学) 

大学院博士課程2年生:1名
大学院委託学生:4名
受託研究員:2名
6年生:13名
5年生:12名
4年生:11名

(令和6年4月現在)

担当講義

(科目: 学年【前・後期】 /教員名)  
物理薬剤学: 2年【後期】/根岸、髙橋、田所 他
物理化学III: 2年【後期】/根岸 他
薬物送達学: 3年【後期】/根岸、髙橋
医療衛生薬学演習I-ii 臨床応用薬学への課題研究チュートリアル: 4年【前期】/根岸、髙橋、田所 他 
総合演習: 4年【後期】/髙橋 他
アドバンス演習: 6年【後期】/根岸 他 
総合系ゼミナール: 2年【前期】/髙橋、田所 他 
物理薬剤学実習: 3年【後期】/根岸、髙橋、田所、岡本 
医療衛生薬学英語特論 I: 4年【前期】/根岸、髙橋、田所
医療衛生薬学英語特論 II: 5年【通年】/根岸、髙橋、田所
課題研究: 4・5・6年【通年】/根岸、髙橋、田所
薬剤学特論: 大学院【前期】/根岸、髙橋、田所、岡本

研究テーマと概要

1)がん細胞選択的ペプチド修飾リポソームの開発

 未来医療として期待されている遺伝子治療の成否は、核酸(アンチセンス、siRNA、miRNA等)医薬を効率よく目的とする細胞・核へと導入する技術、いわゆるDDSの開発にかかっています。また抗がん剤などの既存の薬においても、DDS技術を応用することで正常細胞への影響が抑えられ、結果として副作用の軽減につながります。すなわち、標的細胞内に安全かつ効率良く核酸医薬や抗がん剤の送達が可能な有用性の高いデリバリーシステムの開発が望まれています。そのような背景から、リポソーム表面をがん細胞に選択的なターゲティングリガンド(ペプチドや抗体)で修飾したリポソームの作製を試みており、難治性のがん治療に有用な核酸キャリアの開発を進めています。

2)組織・疾患細胞選択的な超音波造影ガス封入リポソームによる超音波診断と遺伝子導入法の開発 ~がん・筋ジストロフィー・中枢神経疾患治療への応用

 近年では、DDSキャリアの更なる効率化を目指して、体外からの物理的エネルギーの利用が注目されています。当研究室では、その実現化に向けて臨床診断で使用されている超音波の力を利用した次世代DDS(超音波応答性リポソーム:バブルリポソーム)の研究開発を展開中です。これは、体外からの超音波を疾患部位へとピンポイントに照射することで、EPR効果や血管透過性を高め、がんや遺伝病(筋ジストロフィーなど)の治療に有用な抗がん剤や核酸医薬を疾患部位へと効率的に送達させることを可能とするものです。現在、臨床医との共同研究を展開中です。筋ジストロフィーの疾患治療においては、ゲノム編集技術を利用することで、遺伝子異常を根本的に治す遺伝子医薬のための筋選択的DDS開発にもチャレンジしています。さらに、上述したバブルリポソームの投与後に、頭蓋外から超音波を照射することで、一時的に血液脳関門(BBB)を開口させることに成功しています。このBBB開口システムを利用することで、これまで治療が困難とされていた脳腫瘍や中枢神経系疾患(脳梗塞、アルツハイマー、パーキンソン病等)に対する薬物のみならず、核酸医薬や抗体医薬の脳内送達が可能となることから、脳選択的DDSの開発を進めています。

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3)正電荷リポソームによる免疫系細胞の機能変化

 当教室では、ある種の正電荷リポソームが免疫機能を亢進することを明らかにしてきました。このリポソームとともに抗原を鼻へ投与することで、感染症などの予防や治療を可能とする患者にやさしい経鼻投与型リポソームワクチンになるものと期待されます。現在、抗原とリポソームを投与した際に免疫担当細胞がどのように応答するか、その詳細な機構の研究を進めており、これらが明らかになることで、より効果的なワクチン開発に繋がると考えられます。

4)経鼻投与型リポソームワクチンの開発 

 上述の正電荷リポソームを抗原とともに鼻へ投与することで、実際にワクチンとしての機能を果たし得るかについても検討を進めています。共同研究により、肺炎球菌感染症モデル動物を用いた実験も行っており、その効果が認められています。その他にも、抗原を変更することで、真菌症や子宮頸がんなど、種々の疾患に適用可能な経鼻投与型ワクチン開発を目指しています。

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主な研究業績

研究室の業績のページをご覧下さい。

研究室希望の学生さんへ

DDS 研究は薬学のみならず、医学や工学など広範な知識が要求される領域でもあり、超えなければならないハードルは高く容易ではありません。教員・大学院生・卒論生とともに、「学ぶこと」、「研究すること」の楽しさを共に味わいながら一歩ずつ頑張っていこうと思っております。

教育とは『入学してきた学生にいかに多くの付加価値をつけて世に送り出すか』であるといわれております。

好奇心を忘れず常に新しいものにチャレンジする気概を持った学生を育てていきたいと思っております。

 

さあ皆さん、リポソームで夢を一緒に運んでみませんか!!

外部資金(本年度)

◆核酸アプタマー技術融合ナノバブルの開発と超音波セラノスティクスシステムの基盤構築
科研費:基盤研究(B)、根岸洋一、2024〜2026年
Website

◆経鼻投与型核酸搭載ナノバブルの開発と中枢神経系疾患の超音波治療システムの基盤構築
科研費:基盤研究(B)、髙橋葉子、2022〜2024年
Website

◆抗体医薬と超音波造影ガスを主成分とするナノバブルの新規開発と応用
科研費:挑戦的研究(萌芽)、根岸洋一、2023〜2025年
Website

◆肺疾患治療に特化した超音波応答性核酸搭載ナノバブルの開発
科研費:挑戦的研究(萌芽)、髙橋葉子、2022〜2024年
Website

◆超音波応答性細胞外小胞ハイブリッドナノバブルの開発と末梢動脈疾患治療への応用
科研費:基盤研究(C)、田所弘子、2024〜2026年
Website

◆セラノスティクスを可能とする超音波応答性ペプトソームの創製
科研費:研究活動スタート支援、岡本英之、2024〜2025年
Website

◆腫瘍増殖と線維化の抑制を企図する遺伝子搭載ナノバブルによる超音波がん治療戦略の構築
内藤記念科学振興財団:第18回(2023年度)女性研究者研究助成金、髙橋葉子、2023〜2025年
Website

◆その他
分担研究費 5件
受託研究費 2件

 

共同研究先

学内共同研究:病態生化学教室、応用生化学教室、薬品化学教室、薬化学教室、臨床微生物学教室、免疫制御学研究室など

学外共同研究:広島大学、東北大学、慶應義塾大学、東京都立大学、帝京大学、神戸学院大学、愛媛大学、川崎医科大学、徳島大学、東京大学医科学研究所、国立精神神経医療研究センター、医薬基盤研究所、企業(ソニアセラピューティクス 他)など