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内分泌系の生理機能と病態を解析し、創薬の手かがりを探る

研究室のねらい

妊娠成立をめぐる生殖生理の調節機構や、不妊を招く疾患や炎症性疾患の病因を解明し、新しい薬物治療をめざす。

教室メンバー

(役職:氏名 / 学位)

教 授:田村和広 博士(医学)   ReaD
准教授:吉江幹浩 博士(薬学)   ReaD
助 教:草間和哉 博士(薬学)   ReaD, ResearchGate
助 手:安曇麻奈 学士(薬学)

博士課程 D1:津留 涼也

6年生:  9名
5年生:12名
4年生:12名
(2021年4月現在)

 

担当科目

(科目: 学年【前・後期】 /教員名)

講義
薬と疾病入門:1年【後期】 吉江・田村・草間
薬理学Ⅰ:2年【前期】 田村・吉江・草間

大学院講義
生体機能制御学特論(薬科学専攻):田村・吉江
薬理学特論(薬学専攻):田村・吉江・草間

実習
薬理学実習:3年【前期】田村・吉江・草間・安曇

演習・特論
ゼミナールII(薬と疾病分野):2年【前期】草間
総合薬学演習Ⅰ:6年【後期】田村・吉江
生殖医療特論 :5年【後期】田村・吉江
医療衛生薬学特論I 薬剤師の職能と自己将来展望:4年【前期】 吉江
医療衛生薬学演習II 臨床応用薬学への課題研究チュートリアル:4年【前期】 田村・吉江・草間・安曇
医療衛生薬学英語特論I :4年【前期】田村・吉江・草間・安曇
医療衛生薬学英語特論II:5年【通年】田村・吉江・草間・安曇
医療衛生薬学課題研究(調査研究コース)情報収集:6年【前期】田村・吉江
医療衛生薬学課題研究(実験研究コース、調査研究コース):4・5・6年【通年】 田村・吉江・草間・安曇

 

卒業論文研究テーマと概要

国民や患者にとっての”薬の先生”になるために、サイエンスに基づいた薬物治療を実践できる基礎力とマインドを身につけた医療人・研究者を育成します。

実験研究コース、調査研究コース共に、以下のスキルやマインドを身につけるべく、教員と共に自己研鑚する。

① 研究論文を読み評価・ディベートできる能力
② 文書・論文作成のスキル
③ 研究課題に真摯に取り組むマインド
④ 研究結果を伝えるスキル
⑤ チームで協力する心・態度

卒業論文研究テーマ

現在、当教室が主に取り組んでいる卒業研究テーマは、以下のとおりです。

1. 不妊や流産を招く疾患の病態解析

1) 子宮内膜症の病態

子宮内膜症は、生殖年齢の約10%の女性が罹患し、病変での出血や炎症反応により、月経痛や骨盤痛、不妊を招くことから、患者のQOLを著しく低下させる婦人科領域の重要疾患です。しかしながら、未だにその病態の発症機序は解明されていません。そのため、治療に寄与できる標的分子の発見を見据えながら、現在、内膜病変での線維化に注目し、マウス内膜症モデルや培養細胞を用いて線維化や炎症反応のシグナル伝達並びに抑制因子を解析しています。
(東京医大、埼玉医大・産婦人科等との共同研究)

2) 妊娠高血圧症候群(HDP)の病態:栄養膜細胞浸潤シグナルに着目したHDPの病態解明と治療標的の探索

妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy: HDP)は、妊娠中に高血圧となり、母体の血管障害や臓器障害を起こす全身性の症候群です。妊娠の約5%に発生し、母体死亡、周産期死亡の主たる原因となっています。病態発症には、胎盤形成の不全説が有力視されていますが、その詳細は不明です。胎盤形成過程におけるカルシウムイオンやcAMPシグナル因子の意義を報告しています。これらの細胞内情報伝達系とHDPとの関連性について母体及び胎児の両側面から解析しています。

2.  創薬標的の探索を目指した妊娠成立機構の解明

本邦では、生殖補助医療の発展が進んでいますが、少子化、卵子の老化、高齢出産が問題となっています。「受精」、「着床」、「胎盤形成」、「胎児器官形成」と続く、妊娠成立を決定づける詳細なメカニズムは未だに不明です。

1) 子宮内膜の胞胚受容能獲得(脱落膜化)機構

妊娠成立には、受精卵と母体の子宮内膜の受容能が不可欠です。受精卵の着床は、協調した子宮の受け入れ準備(受容能獲得)によって可能となります。着床部位では、胎盤形成の基となる内膜間質細胞の脱落膜化(分化)が起こりますが、そのメカニズムは不明です。我々はこの子宮内膜の脱落膜化のメカニズムを検討しています。子宮内膜での5α-還元酵素を介した局所的なP4代謝機構、プロゲステロン受容体膜構成因子(P4 receptor membrane component 1: PGRMC1)の機能に注目した検討を行っています。(東京医大・産婦人科との共同研究)

2) 胎盤(栄養膜)形成機構

母体-胎児間でのガスや栄養素などの物質交換を担うため、胎児の発育に必須な胎盤を構成する栄養膜細胞の分化異常は、胎盤形成障害、子宮内胎児発育遅延、HDPなどの発症原因となると考えられています。この分化・融合メカニズムの解明が期待されています。我々は、治療薬の創製につながると考えられるHDPなどの妊娠関連疾患における栄養膜細胞の分化異常に関わるシグナル伝達経路を解析しています。

3) 種を超えた哺乳類の妊娠成立機構の解明

哺乳類に共通して、妊娠の成立に最も影響するのは「着床」とそれに伴う「胎盤形成」です。ヒトをはじめ、ウシやげっ歯類などの着床・胎盤形成機構を比較・検証することでメカニズムを明らかにします。特に、様々な動物種の栄養膜細胞の分化・融合を、内在性レトロウイルス由来因子とゲノム状態の変化から解析しています。これらの研究は、ヒト生殖医療だけではなく、畜産分野においても貢献できる研究です。
(東大・獣医、東海大・農、帯広畜産大、広島大・農との共同研究)

3. 新規化合物・治療薬の薬効と作用機序の検討

天然物由来の新規化合物や誘導体の薬理作用と作用機序について、ドラッグリポジショニングも視野に入れて検討しています。

1) UKAMI琉球夏草およびその成分の薬効評価

沖縄産エリ蚕蛹を宿主とする子実体(仮称:琉球夏草)とその成分の薬効解析を行っています。更年期世代のQOL向上に資する機能性食品素材であると考えられるこの琉球夏草の更年期障害, 骨粗鬆症, 肥満に注目し、薬効とその機序を検討しています。

2) 微小管調節に注目した乳がん治療薬の作用機序の検討

微小管重合不安定化因子であり、がんの悪化と相関すると考えられているスタスミンの発現や活性とがん細胞の増殖・浸潤能について検討しています。