病態生化学教室の研究概要

幹細胞や臓器再生といった再生医学の領域において、細胞、成長因子、そして細胞外マトリックスが重要な 3 つのキーワードとなっている。病態生化学教室は、細胞外マトリックスの中でも基底膜と呼ばれる構造体に注目して、化学的および細胞生物学的なアプローチにより機能解明と医療への応用を目指して研究を推進している。

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(1) 基底膜は上皮と血管内皮および結合組織などの間に存在する10-50nm の非常に薄い膜である(図1)。これまで基底膜は均質なもの考えられていたが、最近の研究によって器官やその発生段階によって多様性を持ち、組織の機能や疾患に関与することが明らかになってきた。

図1 基底膜

A. 各組織における基底膜

B. 電子顕微鏡で見た腎糸球体の基底膜

(2) 基底膜は主に IV 型コラーゲン、ラミニン、ニドゲン、パールカンからなる (図2)。これら以外にも、40 種類近くの分子が基底膜には存在していることが報告されている。

図2 基底膜の主な成分とその構造

(3) 病態生化学教室では基底膜の細胞接着に関与することが知られているラミニンに注目して研究を行っている。ラミニンはα、β、γの 3 つの鎖からなり、α鎖が 5 種類、β鎖が 3+1 種類、γ鎖が 3 種類、報告されている(図3)。現在までにその組み合わせによって 15 種類のアイソフォームが知られている。これらラミニンアイソフォームは、発生段階および組織特異的な分布を示す。

図3 ラミニンの基本構造とラミニンファミリー

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