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(役職:氏名 / 学位)
教 授:佐藤 隆 / 博士(薬学)
准教授:水野晃治 / 博士(薬学)
助 教:奥山勝揮 / 博士(薬学)
助 手:小岩井利一 / 修士(薬学)
大学院生(D4):淺利亜由美
大学院生(D4):澤田賢志
6年生: 6名
5年生: 8名
4年生:12名
客員教授: 川島 眞
客員教授: 宮地良樹
客員教授: 友利 新
客員准教授:平松泰成
客員准教授:流石 学
客員准教授:巣山貴裕
客員研究員:坂上弘明
客員研究員:竹中祐子
客員研究員:田中志保
客員研究員:小林 梓
客員研究員:北野高道
(2024年4月現在)
皮膚の付属器官である皮脂腺は皮脂を分泌して皮膚バリアを形成します。皮脂の過剰分泌はニキビを、加齢とともに減少する皮脂量は乾燥肌を引き起こします。一方、皮膚に存在するコラーゲンやヒアルロン酸などの細胞外マトリックス(ECM)は構造・機能的に皮膚機能を調節します。過度の太陽光曝露は皮膚のECMに異常を生じさせ、しわやたるみといった皮膚障害(光老化)を加速度的に進行させます。当教室では、独自に開発した皮脂産生細胞(脂腺細胞)や皮膚構成細胞を駆使し、皮脂腺の分子機能とその異常症であるニキビや乾皮症、紫外線や近赤外線による光老化メカニズムやリンパ管形成機構の解明に取り組んでいます。さらに、医薬・化粧品素材の探索研究や皮膚疾患に精通する人材育成プログラムを通して、肌トラブルを予防・治療し、健康な肌を維持するスキンケア研究にも挑戦しています。
コスメアーリーエクスポージャー(コース制):1年【通年】/佐藤 隆,友利 新,小岩井利一
生化学I(新カリ):1年【後期】/佐藤 隆,水野晃治,奥山勝揮
生化学II(旧カリ):2年【前期】/佐藤 隆,奥山勝揮(今田啓介)
生化学III(旧カリ):2年【後期】/佐藤 隆,水野晃治
生化学実習:3年【前期】/佐藤 隆,水野晃治,奥山勝揮,小岩井利一
スキンケア入門:3年【後期】/佐藤 隆
薬剤師の職能と自己将来展望:4年【前期】/佐藤 隆,他(学科教員)
香粧品科学(産学連携プログラム):3年【前期】 /佐藤 隆(取り纏め)
先端香粧品科学(産学連携プログラム):4年【前期】 /佐藤 隆(取り纏め)
創薬生化学特論(大学院講義):修士課程【前期】 /佐藤 隆
培養脂腺細胞を用いて皮脂の産生調節機構およびその生理的機能を解明するとともに、ニキビや乾皮症などの皮膚疾患の発症の機序についても検討している。さらに、ニキビや乾皮症などの治療・予防薬の開発に取り組んでいる。
紫外線や近赤外線照射による皮膚の急性炎症反応および慢性的皮膚障害(光老化)の分子機構を明らかにするとともに、その予防・改善に有効な新規物質を検討している。また、紫外線および近赤外線等の外的刺激を「ストレス」と捉え、皮膚構成細胞(表皮細胞,線維芽細胞,脂腺細胞および毛乳頭細胞など)におけるストレス応答機構について検討している。
抗癌剤投与によるざ瘡様皮疹の発症機構について、皮脂およびステロイドホルモン生合成の観点から検討している。また、薬剤の毛包脂腺系への移行性に関しても検討している。
リンパ浮腫の一つである原発性のリンパ管形成不全では、組織液やリンパ液の貯留が生じる。現在、リンパ浮腫に対する有効な治療法は確立されておらず、リンパ管形成促進因子の探索が求められている。本研究では多彩な生物活性を有する脂質メディエーターに着目し、リンパ管形成に対するその作用を検討している。
皮膚老化(しわ,たるみ)などにおけるECM代謝異常を改善する有効な新規天然物質を探索している。
皮脂は善玉?悪玉? どうしてニキビができるの?
皮脂といえば “ニキビ”。だから“皮脂は嫌い”,と思っていませんか?でも,皮脂は重要な生体バリア因子であり,かつ天然の保湿剤です。当教室では ヒト,ハムスターおよびマウスより皮脂を産生する細胞(脂腺細胞)の単離・培養法を確立し(国内唯一),皮脂の産生・蓄積・分泌の分子機構の解明に取り組んでいます。また,思春期や大人になってからのニキビについて,男性・女性ホルモンとの関連,アクネ菌や紫外線の影響の観点からその病態機構の解明に取り組んでいます。さらに,抗がん薬の副作用として好発するニキビ様皮疹の発症メカニズムにも取り組み,がん治療の副作用軽減化を目指しています。
ストレスはニキビの原因?
ニキビは“悩みの種”(心理的ストレス)。当教室の最新研究から、ニキビ患者の病巣部にはその不安度合いに依存して神経伝達物質ノルアドレナリンの代謝物(ノルメタネフリン)が存在すること、神経伝達物質の増加により皮脂産生や表皮角化が増強することを発見しました。鏡に映る顔のニキビを見ることで、潜在的な自律神経の乱れが生じ、それがニキビの悪化要因になっている訳です。最近、20代の男女においてマスク肌荒れの上位にニキビがランキングされています。マスク生活下でのニキビの悪化は更なるストレスの要因になっているかと思います。当教室では、温熱刺激が皮膚局所のストレス機構(HPA axis)を活性化して皮脂産生・分泌を促進することを見出しました。マスクによる肌温度の上昇がニキビ悪化の要因になっているのかもしれません。
むくみ(浮腫)の治療・予防法の開発を指向したリンパ管形成の分子機構の解明
皮膚のリンパ管も老化します。老化に伴いリンパ管の形成・機能低下は老廃物などの滞留を招き、むくみ(浮腫)を引き起こします。当教室では、リンパ管細胞の管腔形成3次元モデルを開発し、新規リンパ管形成促進因子を発見しました。新たな研究領域としてのリンパ管研究に取り組み、肌のむくみやリンパ浮腫の病態機構解明とその予防・治療法の開発を目指しています。
光老化の危険因子として近赤外線にも要注意!
太陽光由来電磁波のうち紫外線よりも総エネルギー量が高く、皮膚の奥底まで届くのが近赤外線です。近赤外線は皮膚コラーゲンの分解による光老化に関わると考えられています。当教室の最新研究から、近赤外線は皮膚内温度の上昇とともに皮膚コラーゲン線維の配列を乱すこと、また皮脂腺を肥大化させることを発見しました。皮脂腺の肥大化は老徴の一つである老人性脂腺増殖症を模倣しており、近赤外線がこの病因であると考えられます。光老化に対しては紫外線のみならず近赤外線の防御が必要です。
ニキビ,乾燥肌や光老化などの皮膚トラブルの治療・予防薬/化粧品の素材探索
健やかで美しい肌を保ち,また蘇らせるために,ニキビ,乾燥肌や光老化などの肌トラブルの予防・改善に役立つ素材の探索研究に取り組んでいます。加齢による皮脂腺の機能低下により皮脂欠乏症(乾燥肌)が発症しますが,当教室が発見した皮脂腺の活動性を回復する天然物素材は,乾燥肌の改善に有効性であることを証明しました。
皮膚疾患やスキンケアに精通した人材を育てます!
老若男女、健常人や患者を問わず肌のトラブルや悩みを抱えています。当教室は、皮膚疾患の診療やスキンケアに関する知識を有し、それぞれの症状や状況に応じて適切なアドバイスができる人材を育てるプログラムを実施しています。卒論生は全員、化粧品・スキンケア関連の資格(日本コスメティック協会)を取得します。課題研究として、大学病院皮膚科において臨床医による診療の見学実習、保険薬局において皮膚疾患患者の処方箋対応とスキンケア指導を行っています。